独身者文化はまことに刺戟のつよい文化でありますが、人々に確乎たる生活の拠点を持たせないところにその特質があります。
そしてこの文化が、従来それを独占的に享受してきた男たちだけでなく、あらたに女たちをも解放の名のもとにまきこんでしまったのですから、占領軍将兵のいまわしい訓練をはねかえせなかったのも、無理からぬことです。
独身者主義が支配的なばあいには、家庭というものが、独身者の寄りあいと考えられ、ぜったいに割ってはならない生活の単位とは考えられませんから、ひとたび窮迫いたしますと、
「食えないなら、子供は人にくれるかあずけたらよかろう、働ける者は奉公に出せばよい、女房も住み込みで働きに出たらよい、それぞれが自分で食うことを考えれば、やがて立ち直ることもできよう」
というように、人も勧め、自分も考えやすく、結局はかんたんに一家離散してしまいます。